北海道犬を「アイヌ犬」(Ainu Dog)と呼ぼう!
1937年、「アイヌ犬」が天然記念物に指定されるとき、その正式呼称を地方名を付けて「北海道犬(ほっかいどういぬ)」としました。
しかし、そのイヌ達は「アイヌ民族が獣猟に使うために飼育してきた犬」であり、「アイヌ犬」(Ainu Dog)の呼称の方が適切であると考えます。 「アイヌ犬」も「北海道犬」も和人による呼称ですが、アイヌ民族も和人もともに日本国籍を有し、日本語を使用している現状から、この呼称のうち、より分かりやすい「アイヌ犬」を当館は推奨します。 アイヌ民族は、犬のことを「seta」と呼んできましたので、「北海道犬」を「seta」とする考え方も充分な正当性を持ちますが、現在、アイヌ民族も日本語を使用していますので、「アイヌ犬」がよりふさわしい呼称と考えます。
「アイヌ」とは、アイヌ語で「人間」のことを指します。
本州や外国に対して北海道を示す正しいアイヌ語は、「ヤウンモシリ(陸の国)」です。
近年、「北海道」のことを「アイヌモシリ」と表現する傾向がみられます。 しかし、「カムイモシリ(神の国)」に対して「アイヌモシリ(人間の国)」というのが、本来の使い方です。 したがって、もともと「アイヌモシリ」には北海道の意味はありません。
昔、和人は、大和朝廷に服従しない人々を、アイヌを含めて差別的に「蝦夷(えみし)」と呼びました。
それ以降、アイヌ民族に対する差別政策が続けられました。 また、江戸時代、「ヤウンモシリ」は蝦夷地と呼ばれ、1869年(明治2年)に和人によって北海道と改められました。 1997年、「アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律」(略称:アイヌ文化法)が日本国の法律として成立し、ようやくアイヌが民族として認められました。 |