お使いのブラウザはJavaScriptに対応していません。 data-full-width-responsive="true"> アイヌ民族の伝説 ◇北海道犬博物館◇

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Welcome to the Hokkaido-Inu Museum








当コーナー開設の動機

当館に寄せられた一通のメールが、このコーナーの開設の動機となりました。
新潟県上越市立春日新田小学校の合唱部のみなさんのメールでした。
アイヌ民族の伝説「コロポックル」を題材とした合唱曲「ふきの葉の下の小人たち」をコンクールに向けて練習しているが、「心を込めて歌いたい」のでコロポックルや北海道の風景について教えてほしいという依頼でした。
北海道犬の育ての親であるアイヌ民族の伝説ということで、すぐ回 答させていただきました。
合唱部では、当館の回答メールを印刷してみんなで目を通したとのこと。そして、みんなでコロポックルや北海道の風景に思いをふくらませてコンクールに臨み、みごと優秀賞を獲得しました。
当館としても、お役に立ててうれしく存じます。合唱部の今後の歌創りに大いに期待しております。
依頼メール回答メールを掲載します。

Date: 1997/07/25 16:43
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To:
Subject: 教えて下さい

こんにちは、北海道のみなさん。
 私たちは、新潟県上越市にある
春日新田小学校の合唱部です。
 私たちの学校は、7月25日から
夏休みになります。でも、合唱部は、
コンクールに向けて休み中も練習を
する予定です。
 今、私たちは、8月6日と9日に
行われる合唱コンクールに向けて、
「ふきの葉の下の小人たち」という
歌を練習しています。
  その歌の中に、「コロボックル」
という小人が出てきます。


           ふきの葉の下の小人たち

                         山本瓔子 作詩
                         柳沢 浩 作曲

1 星を うつして輝く湖
   えぞ松の森
   北国の 小さな小さな村の
   ふきの葉の下に
   小人たちが  住んでいた
   やさしい心の  コロボックル
   働きもので 仲よしで
   平和にくらしていた

    2 突然  見知らぬ民族が  襲ってきた
       石のやりで突き
       弓矢を とばし
       大きな男たちは
       コロボックルを  次々たおしていった

     3 一面の 銀色の世界
       涙のように  光る湖
       静かな静かな  北国に
       コロボックルは もういない
       それは 遠い昔
       星になったのか
       白鳥になったのか
       星が  静かに消えるとき
       夜明けの  きん色の空に
       つばさを  ひろげる  あゝ 白鳥よ

  この「コロボックル」という小人が、昔、北海道にいたという伝説があると、
先生から聞きました。
  コロボックルって、どんな小人だろう。北海道のどこに住んでいたのかな。見
知らぬ民族ってどんな人たちだろう。どうして殺されてしまったのだろう。北海
道って、どんなところだろう。いろいろと疑問が出てきました。
  そこで、お願いです。
  コロボックルのことを知っていたら、少しでも教えてください。静かな静かな
北国って、3番で歌われている北海道ってどんな風景ですか。できたら教えてく
ださい。
  教えてもらったことを思い浮かべながら、心を込めて歌いたいと思っています。

  夏休みなのに、すみませんが、どうぞよろしくお願いします。

               新潟県上越市立春日新田小学校
                              合唱部代表      茂原華代・北島理恵より

Date: 1997/07/28 21:47
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To:
Subject: Re.「フキ」と「コロポックル」などについて

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1.「フキ」について

日本にあるフキは、基本的には1種です。しかし、地方によって大きさにかなりの違いがありま
す。

北海道の人からみると、本州のフキはとても小さなものです。この小さなフキを、北海道ではナイ
チブキ(北海道では本州方面のことを内地と呼ぶ)といっています。

北海道のフキは、葉の大きさで4~5倍あります。北海道の山にはいると、超でかいものに会うこ
とがあります(かなり地域が限定されます)。柄の長さ2m、葉の幅1.5mにもなります。この
大きさでは、コロポックルのような小人だけではなく、普通の大人も雨宿りできます。この大きな
ものをアキタブキ(変種)といいます。秋田県・岩手県・関東北部にもありますが、南に行くほど
小さくなり、ついにはナイチブキと同じ大きさになり、区別がつかなくなります。

2. コロボックルって、どんな小人?

アイヌ民族に伝わる伝説の小人です。昔、あるアイヌの村(アイヌの村をコタンといい、酋長を中
心にして生活していた)で起こった物語です。

a. 昔、火の山がお怒りになり、その爆発によりコタンが次々と埋まっ
     た。
b. こんな中で、やっと逃げ出した人々が恵まれた土地を見つけ、新しい
     平和なコタンができた。
c. ところが、この土地にはコロポックルという小人たちが、ずっと昔か
   ら住んでいた。 
d. コロポックルは裸ですばやく動き、人間には決して姿を見せない。
e. 夜、コロポックルは自分たちがとった魚の余りを人間の家の前に置く
   (おすそ分けのつもり)。
f. 人間は、「いたずら(もしかして毒が・・・)?」「親切?」などい
   ろいろ考えたが、結局、正体をつきとめてやると言った人が、ある
   夜、コロポックルを捕まえてしまった。
g. 捕まったコロポックルは、コロポックルの酋長の娘だった。
h. 酋長は人間につくしてきたつもりだったが、娘が捕まったことにより
   裏切られたと判断した。
i. 酋長は「もう許せない! 娘を助け出そう!」と、コタンに対してコロ
   ポックルみんなで攻撃をかけ、娘をぶじ助けた。
j. 戦いのあとすぐ、コロポックルはそのコタンから引き上げた。
k. その後、このコタンは滅びてしまった。
l. そして、コロポックルも二度と姿を見せなくなった。  

3. 北海道のどこに住んでいた?

         アイヌ民族より先に、北海道のある地区に住んでいたが、アイヌのコタンの
         人と戦い、そのあと、永遠に姿を見せなくなりました。
 
4. 見知らぬ民族ってどんな人たち?
         
         コロポックルの住んでいる地区に、あとで移住してきて新しいコタンを作っ
         たアイヌ民族です。

5. どうして殺されてしまったのだろう?

         アイヌのコタンの人との戦いで、多くのコロポックルが死にました。 

6. 静かな静かな北国って、3番で歌われている北海道ってどんな風景?

     「一面の銀色の世界」 → 北海道の山は、広い大地に平らに伏せている感じがし
                           ます。平野部もゆったりと傾斜しながら、「一面に」と
                           いう感じです。
                           気温の低い北海道の雪は、決してとけません。いつも
                           結晶がきらきらと銀色に光っています。本州では雪が降
                           るとカサをさしている風景が見られますが、北海道では
                           信じられない光景です。雪は、からだや頭をゆすって払
                           い落とすものです。

     「光る湖」     → 北海道の湖は、いつ見ても「ハッ!」とするような幻想的な
                      美しさを持っています(季節・天候・時間によって変化します
                      が、とにかく神秘的です)。本州とは全く違って、涙のように
                      きれいな水をたたえ、その清らかな水面が太陽光線で光って見
                      えます。

     「静かな静かな北国」 → 広い北海道に、わずかな数のアイヌ民族が住んでいま
                           した。まさに静かな大地でした。嵐でない限り、鳥や虫
                           や木の葉の音だけの世界です。
                           現在、札幌など一部の都市周辺に人が集まり、北や東
                           の地方は家も人もまばらです。むしろ、長い長い町と町
                           の間は何もありません。一本の道と平野と山が続きます。
               こうした地域は、本州から行ったとき、現代でも静か
                           な静かな北国と感じてしまいます。  

7.  どうか、北海道を舞台にした合唱を、心を込めて歌って下さい。
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